建設業における”経審”とは、経営事項審査の略ですが、この経営事項審査とは、国、地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合には、必ず受けなければならない審査です。

公共工事を発注する機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行っています。

この審査は、

  • 欠格要件に該当しないか
  • 客観的事項
  • 発注者別評価

という3つの審査を行って、その結果を点数化、格付けが行われています。

この3つのうち、「客観的事項」の部分がいわゆる”経審”(経営事項審査)です。

経審が必要な公共工事

すべての公共工事の請負に経審が必要なわけではありません。

経営事項審査を受けなければ、直接請け負うことができないとされる工事(公共工事)とは、次に掲げる発注者が発注する施設又は工作物に関する建設工事で、建設工事1件の請負代金額が、500万円以上(建築一式工事の場合は、1500万円以上)のものとなります。

 (1)国
 (2)地方公共団体
 (3)法人税別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)
 (4)上記に準ずるものとして国土交通省令で定める法人は次のとおり

 関西国際空港株式会社、公害健康被害補償予防協会、首都高速道路株式会社、消防団員等公務災害補償等共済基金、地方競馬全国協会、東京地下鉄株式会社、 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法 (昭和六十一年法律第四十五号)第二条第一項 に規定する東京湾横断道路建設事業者、独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人勤労者退職金共済機構、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人日本原子力研究開発機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人理化学研究所、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、西日本高速道路株式会社、日本環境安全事業株式会社、日本小型自動車振興会、日本自転車振興会、日本私立学校振興・共済事業団、日本たばこ産業株式会社、 日本電信電話株式会社等に関する法律 (昭和五十九年法律第八十五号)第一条第一項 に規定する会社及び同条第二項 に規定する地域会社、 農林漁業団体職員共済組合、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社並びに、 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 (昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項 に規定する会社とする。

但し、次の建設工事については、対象から外れます。

[1]堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあるものによつて必要を生じた応急の建設工事
[2]【1】のほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事

審査の基準日

審査の基準日は原則として申請をする日の直前の事業年度終了日(直前の決算日)です。

審査基準日は直前の事業年度の終了日であるため、申請時に既に新しい審査基準日を迎えている場合、従前の審査基準日では審査を受けることはできませんので注意しましょう。

経審の有効期間

経審の有効期間は結果通知書(経営事項審査)を受領した後、審査基準日から1年7カ月です。

結果通知書を受け取ってからの期間ではないので注意が必要です。

公共工事の受注(発注者と契約を締結すること)には、契約締結日の1年7か月前以降の決算日を基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書の交付を受けていることが必要です。

これは、公共工事発注者の入札参加資格の有無とは関係なく、公共工事の受注そのものに対し義務付けられるものです。

毎年公共工事を直接請け負おうとする場合は、有効期間が切れ目なく継続するよう、毎年決算後速やかに経営事項審査を受ける必要があります。

経審の有効期間を切れ目なく継続するためには

毎年、決算終了後4ヶ月以内を目安に経営事項審査を申請する必要があります(3月決算の会社の場合、7月末日まで)。
また、申請するにあたり、事前に建設業許可に係る決算の”変更届出書”の提出が必要です。

経審の仕組み

経審はどのようにして審査されているのでしょうか?

経審は、次に掲げる事項について、数値による評価をして行います。(建設業法第27条の23第2項)

1)経営状況・・・(Y)

2)経営規模等・・・経営規模(X)・技術力(Z)・社会性等(W)

総合評定値

 国土交通大臣又は都道府県知事は、上記2)の「経営規模等」に係る評価(経営規模等評価)の申請をした建設業者から請求があった場合には、上記1)の「経営状況」に関する分析(経営状況分析)の結果に係る数値と経営規模等評価の結果に係る数値を用いて、客観的事項の全体についての評定結果に係る数値を通知しなければならないとされています。

この客観的事項全体に係る数値を「総合評定値」(P)と言います。

「経営状況分析」結果(Y)+「経営規模等評価」結果(X・Z・W)=「総合評定値」(P)

経審の申請にかかる費用

経審の申請に係る費用は、行政書士報酬に加えて

  • 経営状況分析
  • 経営規模等評価

に手数料がかかります。

経営状況分析

経営状況分析は民間企業が行っています。

経営状況分析にかかる手数料は12000~13000円ぐらいです。

経営規模等評価

「8,100円」と「2,300円に評価にかかる建設業の種類数を乗じて得た額」との合計額です。

たとえば、評価対象業種が1業種の場合は10,400円、以下1業種増すごとに2,300円を加算した額になります。

(計算式)[8,100円]+[2,300円×審査対象業種の数]

総合評定値請求

「400円」と「200円に通知のかかる建設業の種類を乗じて得た金額」との合計額です。

たとえば、通知対象業種が1業種の場合には600円、以下1業種増すごとに200円を加算した額になります。

(計算式)[400円]+[200円×通知対象業種の数]

経営規模評価と総合評定値請求の費用のまとめ

業種数両方同時に申請
(*)通常はこちら
経営規模等評価申請のみ総合評定値通知請求のみ
111,000円10,400円600円
213,500円12,700円800円
316,000円15,000円1,000円
418,500円17,300円1,200円
521,000円19,600円1,400円
623,500円21,900円1,600円
726,000円24,200円1,800円
828,500円26,500円2,000円
931,000円28,800円2,200円
1033,500円31,100円2,400円
1136,000円33,400円2,600円
1238,500円35,700円2,800円
1341,000円38,000円3,000円
1443,500円40,300円3,200円
1546,000円42,600円3,400円
1648,500円44,900円3,600円
1751,000円47,200円3,800円
1853,500円49,500円4,000円
1956,000円51,800円4,200円
2058,500円54,100円4,400円
2161,000円56,400円4,600円
2263,500円58,700円4,800円
2366,000円61,000円5,000円
2468,500円63,300円5,200円
2571,000円65,600円5,400円
2673,500円67,900円5,600円
2776,000円70,200円5,800円
2878,500円72,500円6,000円
2981,000円74,800円6,200円

当事務所の行政書士報酬

当事務所に経営事項審査申請をご依頼いただく場合の報酬は報酬額表をご参照いただくか、当事務所にお問い合わせ下さい。