英語で入管実務を説明できる申請取次行政書士は、なぜ希少なのか

Immigration Procedures in Japan

英語で入管実務を説明できる申請取次行政書士は、なぜ希少なのか

日本の中長期在留者は約386万人。一方で、申請取次行政書士は全国約1.1万人です。 さらに、英語で在留資格・提出資料・審査上のリスクを説明できる専門家は限られます。

1.日本に住む外国人は、すでに400万人を超えています

出入国在留管理庁の公表資料によれば、2025年末現在の在留外国人数は 412万5,395人で、初めて400万人を超えました。 このうち、中長期在留者は385万8,499人です。

つまり、日本で働く、学ぶ、家族と暮らす外国人は、もはや例外的な存在ではありません。 雇用、教育、家族、地域社会の中で、在留資格の手続はますます重要になっています。

412万5,395人 2025年末の在留外国人数
385万8,499人 中長期在留者数
10,957人 令和6年1月1日現在の申請取次行政書士数

2.申請取次行政書士は、行政書士の中でも一部です

在留資格の申請では、原則として本人が地方出入国在留管理局へ出頭して手続を行います。 しかし、申請取次の届出をした行政書士が関与する場合、一定の申請について本人出頭が免除されることがあります。

厚生労働省の有識者懇談会提出資料では、行政書士の会員数は令和7年2月15日現在で 53,076名、申請取次行政書士数は令和6年1月1日現在で 10,957人とされています。

つまり、すべての行政書士が入管申請の取次に対応できるわけではありません。 さらに、申請取次行政書士であっても、入管業務を主力業務として扱っているかどうかは別問題です。

Person holding a passport as a symbol of international travel and immigration procedures
在留資格の相談では、パスポートや在留カードだけでなく、本人の経歴・勤務先・提出資料を総合的に確認します。

3.「英語ができる」と「英語で入管実務を説明できる」は違います

ここで重要なのは、単に英語を少し読める、簡単な会話ができる、という意味ではありません。 入管実務では、次のような内容を英語で正確に説明する必要があります。

  • 現在の在留資格でできる活動と、できない活動
  • 本人の学歴・職歴・在留歴が、申請予定の在留資格に合うか
  • 雇用契約書、会社資料、理由書、説明書にどのような意味があるか
  • 審査上、弱く見られやすい点はどこか
  • 追加資料通知や不許可後に、どのような対応が必要か

入管業務では、本人、勤務先、提出資料、審査傾向の4つの視点を同時に見る必要があります。 これを英語で説明するには、語学力だけでなく、在留資格実務の経験が必要です。

4.英語対応できる専門家の数は、公表統計では分かりません

「英語で入管実務を説明できる申請取次行政書士」が全国に何人いるかについて、公的な統計は公表されていません。 そのため、正確な人数を断定することはできません。

本記事では、あくまで考察上の推計として、申請取次行政書士10,957人のうち、 3〜6%程度が英語で入管実務を説明できると仮定しています。

この3〜6%という仮定は、次のような絞り込みを前提にしています。

  • 申請取次行政書士であっても、入管業務を主力業務として継続的に扱っているとは限らないこと
  • 入管業務を扱っていても、外国人本人から英語で直接事情を聞き取れるとは限らないこと
  • 英語で日常会話ができることと、在留資格該当性、提出資料、不許可リスク、審査対応を英語で説明できることは別であること
  • ホームページ、相談対応、メール、電話、WhatsApp等で英語対応を実務運用している事務所はさらに限られること

たとえば、申請取次行政書士のうち、入管業務を実際に主力又は継続業務として扱う層を仮に3〜4割程度と見ます。 その中で、外国人本人に対して英語で直接相談、資料確認、リスク説明までできる層をさらに1〜2割程度と見ると、 全体ではおおむね3〜6%程度というレンジになります。

さらに、英語力の水準を客観的に見ると、TOEIC L&R 885点は公開テスト受験者の中でも上位層に入る高スコアです。 IIBC公式データでは、2024年度のTOEIC L&R公開テストの平均スコアは615点とされており、 885点は平均を大きく上回ります。

もっとも、TOEIC L&Rは聞く力・読む力を測る試験であり、それだけで英語での相談対応、交渉、説明、プレゼンテーション能力まで証明できるものではありません。 そのため、入管実務において本当に重要なのは、英語試験の点数に加えて、実際に英語で業務を行ってきた経験です。

当事務所代表は、TOEIC L&R 885点に加え、グローバル外資メーカーにおいて技術営業・マーケティング業務を担当し、 英語での同時通訳、技術説明、ビジネスプレゼンテーションを行ってきた実務経験があります。 その経験をもとに、在留資格の該当性、提出資料、不許可リスク、入管審査の流れを英語で説明しています。

このように、単に「英語が分かる」だけでなく、TOEIC高得点、ビジネス英語、技術英語、英語プレゼン経験、そして入管実務経験を兼ね備えた申請取次行政書士となると、 全国でもさらに限られると考えられます。

推計の考え方

区分 推計割合 推計人数 考え方
英語で入管実務を説明できる申請取次行政書士 3〜6% 約330〜660人 入管業務を継続的に扱い、英語で本人対応・資料確認・リスク説明までできる層
TOEIC885点級+実務英語・技術英語・英語プレゼン経験あり 0.5〜2% 約55〜220人 高スコアに加え、外資企業等で英語を使った営業・マーケティング・説明業務を経験した層

※上記は公的統計ではなく、公開されている英語力データと実務上の絞り込みに基づく当事務所の考察です。

もし英語で在留手続を相談したい外国人本人・雇用企業の潜在的ニーズを60万〜80万人程度と仮定すると、 英語対応できる専門家1人あたり、単純計算で約900〜2,400人を支える計算になります。

したがって、「英語で入管実務を説明できる専門家」は、外国人本人にとっても、外国人を雇用する企業にとっても、 非常に希少な存在だといえます。

Two passports held in hand representing international mobility and residence procedures
国籍、在留資格、家族関係、勤務先の事情により、必要な説明と資料は大きく変わります。

5.外国人本人と雇用主にとって、何が重要なのか

在留資格の手続は、単に申請書を提出すればよいというものではありません。 特に就労系の在留資格では、本人の経歴と職務内容、勤務先の事業内容、給与水準、雇用の継続性などを総合的に見られます。

外国人本人にとっては、「自分の状況が日本の在留資格制度の中でどう評価されるのか」を理解することが重要です。 雇用主にとっては、「どの資料を用意すべきか」「会社側の説明として何が必要か」を理解することが重要です。

これらを英語で説明できる専門家がいれば、本人と会社の双方が同じ理解に立って準備を進めやすくなります。

英語で在留資格・就労ビザの相談をしたい方へ

Tommy’s Legal Serviceでは、日本で働く外国人、日本で外国人を雇用する企業、海外から日本を目指す方に向けて、 英語で在留手続の説明を行っています。

在留カード、パスポート、雇用契約書、会社資料、前回申請書などを確認したうえで、 申請の方向性、必要資料、審査上のリスクを整理します。

参考資料

※英語で入管実務を説明できる申請取次行政書士の人数については、公的統計がないため、本文中の数値は当事務所による考察上の仮定です。 実際の人数を断定するものではありません。