2026年の在留資格更新は何が変わったのか――入管政策・公的義務・企業側確認の最新動向
2026年の在留資格更新は何が変わったのか――入管政策・公的義務・企業側確認の最新動向
2026年の在留資格更新・変更では、本人の生活実態、公的義務の履行、勤務先の説明責任、提出資料との整合性がより重要になっています。
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Read this article in Englishこの記事は、2026年5月時点の入管政策と在留資格実務の流れを整理するものです。単に「審査が厳しくなった」と捉えるのではなく、本人、勤務先、提出資料、審査傾向の4つをどのように確認すべきかを実務目線で解説します。
2026年の入管政策は「予測」から「実務対応」の段階へ
2025年末から2026年初頭にかけては、「今後、在留資格審査が厳しくなるのではないか」という予測的な議論が多く見られました。しかし、2026年5月時点では、すでに具体的な制度変更や運用変更が見え始めています。
内閣官房には、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた施策を総合的に進めるための組織が設置され、在留管理・外国人雇用・社会保険・医療費・運転免許・経営管理など、複数分野を横断した政策整理が進められています。
「秩序ある共生」は在留資格審査で何を意味するのか
「秩序ある共生」という言葉は、単なる政治スローガンとして見るべきではありません。実務上は、外国人が日本で安定して生活し、勤務先や学校、自治体、社会保険制度と整合した形で在留しているかを確認する方向につながります。
在留資格更新・変更では、次のような点がより重要になります。
- 住所:住民票、在留カード、勤務先資料、家族関係に矛盾がないか。
- 勤務先:雇用契約書、職務内容、給与、社会保険加入状況が一致しているか。
- 公的義務:税金、年金、健康保険、入管法上の届出義務を適正に履行しているか。
- 生活実態:実際の職務内容、家族状況、収入、扶養関係が提出資料と合っているか。
- 説明責任:本人だけでなく、勤務先・所属機関が申請内容を理解しているか。
永住許可では「期限内の公的義務履行」がさらに重要に
永住許可では、納税、公的年金、公的医療保険料、入管法上の届出義務などの公的義務を適正に履行していることが重要です。特に、申請時点で納付済みであっても、当初の納付期限内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されるとされています。
また、令和9年4月1日以降は、永住許可ガイドライン上の「最長の在留期間をもって在留していること」について、従来の「3年」を最長在留期間とみなす取扱いが改められる予定です。永住を検討する方は、現在の在留期間と申請時期の確認が重要になります。
技人国・介護等では所属機関側の説明責任が重くなる
技術・人文知識・国際業務では、令和8年4月15日以降の申請から、カテゴリー3又は4に該当する場合に、「所属機関の代表者に関する申告書」などの追加提出が案内されています。また、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語について一定の言語能力を有することを示す資料が問題となる場合があります。
これは、単に書類が1枚増えたという話ではありません。会社側が、どのような業務に外国人を従事させるのか、その業務が在留資格に合っているのか、代表者・担当者が申請内容を理解しているのかを確認する流れです。
本人側
学歴、職歴、職務内容、使用言語、収入、転職理由の説明が重要になります。
勤務先側
雇用契約、職務内容、社会保険、会社規模、代表者の理解が確認対象になります。
資料側
申請書、理由書、雇用契約書、会社資料、説明書の整合性が重要です。
JESTA・手数料改定法案は制度運用の方向性を示している
2026年3月には、JESTA創設や在留手続の手数料上限引上げを含む入管法改正案が閣議決定されたと報じられています。報道では、在留資格の変更・更新の手数料上限を最大10万円、永住許可を最大30万円とする内容が示されています。
ただし、これは上限額の話であり、すべての申請が直ちにその金額になるという意味ではありません。実際の徴収額や適用時期は、今後の法案成立、政令、入管庁発表等を確認する必要があります。
外国人本人が今から確認すべきこと
- 在留カード:在留期限、在留資格、現在の在留期間を確認する。
- 更新時期:次回更新の申請可能時期を把握する。
- 税金:住民税・所得税の納付状況、納期限、証明書を確認する。
- 年金・健康保険:未納、遅延、免除、加入漏れがないか確認する。
- 届出義務:転職、退職、所属機関変更、住所変更の届出漏れがないか確認する。
- 家族・扶養:扶養控除、海外扶養、家族滞在、住所関係に不自然な点がないか確認する。
企業・雇用主が確認すべきこと
企業側では、外国人本人の資料だけでなく、勤務先としての説明責任も重要になっています。特に、カテゴリー3・4企業、新設法人、外国人代表者の会社、転職後初回更新、職務内容が複雑なケースでは、会社資料と実態の整合性を丁寧に確認する必要があります。
- 雇用契約書と実際の職務内容が一致しているか。
- 給与額、勤務場所、勤務時間、社会保険加入が資料と一致しているか。
- 職務内容が在留資格の活動範囲に合っているか。
- 代表者・担当者が申請内容を理解しているか。
- 転職・配置転換・副業・兼務がある場合、説明できる資料があるか。
- 特定技能では、支援体制、支援記録、届出、協議会加入等が整理されているか。
まとめ
2026年の在留資格更新・変更は、単に「審査が厳しくなった」と片付けるより、制度全体が、本人の生活実態、勤務先の管理体制、公的義務の履行、行政データとの整合性を重視する方向へ進んでいると考えるべきです。
技人国、経営・管理、永住、特定技能、家族滞在など、在留資格ごとに確認すべきポイントは異なります。更新期限が近づいてから対応するのではなく、早い段階で本人・勤務先・提出資料・審査傾向の4視点からリスクを整理することが重要です。
在留資格更新・変更の前に、資料とリスクを整理しましょう
トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格更新、変更許可、永住許可、外国人雇用に関する相談を受けています。2026年の制度変更を踏まえ、早めの状況整理をおすすめします。
参考情報
本記事は、2026年5月7日時点の公表情報・報道情報をもとにした一般的な情報提供です。個別案件の判断は、在留資格、在留期限、本人状況、勤務先状況、提出資料、審査傾向により異なります。未確定の制度変更については、今後の法令、政令、入管庁発表を確認してください。