日本版ESTA「JESTA」導入へ|短期滞在・在留手数料引上げへの実務影響を解説

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Immigration Law Update / JESTA

日本版ESTA「JESTA」導入へ|短期滞在・在留手数料引上げへの実務影響を解説

ビザ免除で日本に来る外国人にも、将来的に渡航前のオンライン認証が求められる可能性があります。 あわせて、在留資格変更・更新、永住許可に関する手数料上限の引上げも予定されています。 本記事では、外国人本人、企業担当者、海外取引先を招く事業者が注意すべきポイントを整理します。

政府は、日本版ESTAともいえる電子渡航認証制度「JESTA」の創設を含む入管法改正案を進めています。 JESTAは、ビザ免除で日本に短期滞在する外国人などに対し、渡航前にオンラインで情報提供・認証を求める制度です。

これまで、査証免除国・地域の人が観光、親族訪問、短期商用などで日本に来る場合、 原則として事前にビザを取得せずに来日できるケースがありました。 しかし、JESTA導入後は、「ビザ免除だから何も準備しなくてよい」という扱いではなく、 渡航前にオンライン認証を受ける必要が生じる可能性があります。

重要: 本記事は、2026年5月時点で公表・報道されている情報に基づく解説です。 JESTAの具体的な申請方法、対象範囲、手数料、有効期間、対応言語、代理申請の可否などは、 今後の政令・省令・出入国在留管理庁の公表情報により具体化される予定です。

1.JESTAとは何か

JESTAは、Japan Electronic System for Travel Authorization の略称として説明されている、 日本版の電子渡航認証制度です。米国のESTA、韓国のK-ETA、欧州のETIASのように、 入国前の段階で一定の情報をオンラインで提出させ、当局が事前確認を行う仕組みに近いものです。

現時点で想定される中心的な対象は、査証免除措置を利用して日本に短期滞在しようとする外国人です。 観光客だけでなく、短期商用、会議、研修、親族訪問、海外本社からの出張者などにも関係する可能性があります。

日本の空港で行われる入国・搭乗手続のイメージ
JESTAは、来日前・搭乗前の確認を重視する制度として導入が予定されています。
項目 現時点での整理 実務上の注意点
制度の性質 査証免除対象者等に対する電子渡航認証制度 ビザそのものではありませんが、認証がないと搭乗・来日に影響する可能性があります。
対象者 ビザ免除で短期滞在する外国人等が中心と見込まれます。 観光客だけでなく、短期商用、親族訪問、海外取引先の来日にも関係します。
開始時期 2028年度中、すなわち2029年3月末までの導入が目標とされています。 実際の開始日、経過措置、システム運用開始日は今後の公表確認が必要です。
未確定事項 申請項目、手数料、有効期間、対応言語、代理申請の可否等 現時点で断定せず、公式情報の更新を確認する必要があります。

2.誰に影響するのか

JESTAは、単なる観光客向けの制度ではありません。 実務上は、日本に短期で人を呼ぶ側、つまり日本企業、学校、家族、支援者にも影響します。

外国人本人 日本に来る前に、JESTA認証が必要かどうか、いつまでに申請すべきかを確認する必要があります。
日本側の企業・団体 海外取引先、役員、技術者、研修参加者を招く場合、渡航前確認の項目が増える可能性があります。
日本在住の家族・支援者 親族訪問で家族を日本に呼ぶ場合も、査証免除国ならJESTA確認が必要になる可能性があります。

たとえば、海外本社の担当者が日本の支店を訪問する場合、従来は航空券と宿泊先の手配を中心に準備していたケースでも、 将来的には「その人がJESTAの対象者か」「認証は取得済みか」「認証結果に問題はないか」を確認するフローが必要になります。

渡航前確認とデジタル手続を行う旅行者のイメージ
今後は、短期来日でもデジタル手続・事前確認の重要性が高まる可能性があります。

3.在留手続の手数料上限引上げにも注意

今回の改正案では、JESTAだけでなく、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可に関する 手数料の法定上限額の引上げも重要な論点です。

ここは誤解されやすいポイントです。
「在留資格変更・更新が10万円になる」「永住許可が30万円になる」と直ちに決まったわけではありません。 10万円・30万円という数字は、現時点では法律上定めることができる上限額の話です。 実際にいくらを納付することになるかは、今後の政令等で確認する必要があります。
手続 現在の実務上の手数料例 改正案で示されている法定上限 注意点
在留資格変更許可 窓口申請6,000円、オンライン申請5,500円 10万円 実際の額は政令等で定められる予定です。
在留期間更新許可 窓口申請6,000円、オンライン申請5,500円 10万円 家族全員で更新する場合、費用計画への影響が大きくなる可能性があります。
永住許可 10,000円 30万円 永住申請を検討している方は、申請時期と費用負担を早めに確認すべきです。

4.企業担当者が準備しておきたいこと

外国人材を雇用している企業、海外取引先を日本に招く企業、グループ会社間で出張者を受け入れる企業は、 次の点を社内フローに入れておくと安全です。

  • 短期来日者が査証免除対象者か、ビザ取得が必要な国籍かを確認する。
  • JESTA開始後は、航空券手配前または出発前に認証状況を確認する。
  • 来日目的が短期滞在の範囲に収まるかを確認する。
  • 日本国内で報酬を受ける活動、実質的な就労活動にならないか確認する。
  • 中長期の就労・駐在・転勤の場合は、JESTAではなく在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更の要否を確認する。
  • 在留資格更新・変更・永住申請の予定者について、将来の手数料改定リスクを踏まえてスケジュールを管理する。

特に注意すべきなのは、JESTAは「短期滞在のための事前認証」であり、 中長期の就労や在留を認める制度ではないという点です。 日本で働く、長期滞在する、会社を経営する、家族として在留する場合には、 それぞれの目的に合った在留資格が必要です。

5.外国人本人が確認すべきこと

外国人本人にとっては、次のような確認が重要になります。

  • 自分の国籍が日本の査証免除対象か。
  • 来日の目的が観光、親族訪問、短期商用など短期滞在の範囲か。
  • JESTA開始後、自分が認証対象になるか。
  • 過去の入国歴、オーバーステイ歴、退去強制歴、犯罪歴などが認証に影響する可能性がないか。
  • 日本での在留資格変更や更新を予定している場合、手数料改定の時期と自分の申請時期が重ならないか。
JESTAが導入されても、すべての外国人が同じ扱いになるわけではありません。 国籍、渡航目的、滞在期間、過去の入国・在留状況、現在の在留資格などにより、必要な手続は変わります。

6.今後の見通し

今回の改正案から見える大きな流れは、日本の入管制度が 「来日前の事前確認」「デジタル化」「不適正な入国・在留の抑止」「費用負担の見直し」 を強めているということです。

これまで以上に、外国人本人も、受入れ企業も、在留期限や渡航直前になってから対応するのではなく、 早い段階で手続の要否、必要書類、費用、審査上のリスクを確認する必要があります。

特に、在留資格変更・更新、永住許可、短期滞在から中長期在留への移行、海外取引先の短期来日などは、 制度改正の影響を受けやすい分野です。今後の公式発表を確認しながら、実務対応を整理していくことが重要です。

在留資格・外国人雇用・短期来日の確認は早めに

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格の変更・更新、永住許可、 外国人雇用、短期滞在から中長期在留への移行可能性などについて、実務上の確認を行っています。 JESTAや手数料改定はまだ運用詳細が未確定な部分もありますが、 今後日本に来る予定がある方、日本で在留を続ける方、外国人材を受け入れる企業は、早めに情報を整理しておくことをおすすめします。