外国人制度の厳格化が進行中|外免切替・経営管理ビザ96%減から見る今後の在留審査

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Immigration Policy Update

外国人制度の厳格化が進行中|外免切替・経営管理ビザ96%減から見る今後の在留審査

外免切替の合格率低下、在留資格「経営・管理」の申請件数減少など、外国人に関係する制度運用の厳格化が進んでいます。重要なのは、単なる不安ではなく、制度の趣旨に沿った準備と実態説明です。

この記事のポイント

  • 政府は、外国人の受入れを一律に否定するのではなく、制度の不適正利用を防ぐ方向で運用を見直しています。
  • 外免切替では、住所確認、知識確認、技能確認が厳格化され、合格率が大きく低下しています。
  • 在留資格「経営・管理」では、資本金、常勤職員、日本語能力、事業計画、事業実態がより重視されます。
  • 今後の在留申請では、書類の形式だけでなく、生活実態・事業実態・法令遵守状況を説明できることが重要です。

2026年5月2日、産経新聞は、政府が外国人政策の厳格化の進捗を公表し、外免切替の合格率が大きく低下したこと、また在留資格「経営・管理」の月間申請件数が大幅に減少したことを報じました。

このニュースは、単なる「外国人規制強化」という見方だけでは不十分です。背景には、日本に在留する外国人が増える中で、在留資格、運転免許、税・社会保険、医療、土地取得など、外国人に関係する制度をより適正に運用しようとする政府方針があります。

一方で、多くの外国人は、日本のルールを守り、地域社会や職場で真面目に生活しています。だからこそ、制度を不適正に利用するケースと、真面目に生活・就労・事業を行う外国人を区別するためにも、申請時の準備と説明がこれまで以上に重要になります。

1.政府は「秩序ある共生」を掲げ、外国人関連制度の適正化を進めている

内閣官房には「外国人との秩序ある共生社会推進室」が設置され、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた施策を総合的に推進する体制が整えられています。

ここで重要なのは、「外国人を受け入れるか、受け入れないか」という単純な二分法ではありません。政府の方向性は、外国人が日本で生活し、働き、事業を行うことを前提にしながら、制度の不適正利用、法令違反、生活実態の不明確なケースを適正に確認する方向へ進んでいると見るべきです。

実務上の見方:
今後の在留申請では、「書類をそろえたか」だけでなく、「その書類の内容が実態と合っているか」「日本での活動実態を説明できるか」「税金・社会保険・労働関係の義務を履行しているか」がより重視される可能性があります。

2.外免切替では、住所確認と試験内容が厳格化

外国で取得した運転免許を日本の運転免許に切り替える「外免切替」については、2025年10月から運用が厳格化されました。

報道によれば、知識確認の合格率は、2024年の92.5%から、厳格化後の2025年10月から12月には42.8%へ低下しました。技能確認についても、30.4%から13.1%へ低下したとされています。

日本の道路と外免切替制度の厳格化
外免切替では、日本の交通ルールと運転技能の確認がより厳格になっています。

外免切替は、行政書士の在留資格申請業務そのものではありません。しかし、住所確認やルール理解を厳格に確認するという流れは、在留管理全体の方向性とも共通しています。日本で生活する外国人には、在留資格だけでなく、交通、税金、社会保険、労働、医療など、生活に関わる制度を正しく理解することが求められます。

3.在留資格「経営・管理」は、形式より実態が問われる時代へ

在留資格「経営・管理」についても、大きな制度変更が行われています。出入国在留管理庁は、在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について公表しており、改正後の基準は令和7年10月16日に施行されています。

主な改正内容として、1人以上の常勤職員の雇用、3,000万円以上の資本金等、申請者又は常勤職員の相当程度の日本語能力、経営・管理又は事業分野に関する学位又は実務経験、専門家確認付きの事業計画書などが示されています。

確認される主な項目 実務上のポイント
資本金・投下資金 金額だけでなく、事業内容、資金の出所、資金使途、事業計画との整合性が重要です。
常勤職員 名義だけではなく、実際の雇用契約、給与支払い、社会保険等の整備が問題になります。
事業所 実際に事業を行う場所として機能しているか、自宅兼事務所や小規模区画の実態が確認されます。
日本語能力・対応体制 申請者本人又は常勤職員による日本語対応体制が、事業運営上どのように機能するかが重要です。
事業計画 抽象的な計画ではなく、売上見込み、取引先、許認可、雇用、資金計画の合理性が問われます。

4.96%減少という数字が示すもの

報道では、「経営・管理」の月間申請件数が、改正前と比較して約96%減少したとされています。この数字は、在留資格「経営・管理」が、従来よりもはるかに慎重に検討される制度になったことを示しています。

ただし、ここで注意すべきなのは、「経営・管理ビザがなくなった」という意味ではないことです。制度自体は存続しています。しかし、会社設立、資本金、事務所、事業計画を形式的に整えるだけでは、許可を得ることが難しくなっています。

経営管理ビザ申請に向けて事業計画と書類を確認する専門家と事業者
経営・管理ビザでは、事業計画と実際の事業運営の整合性がより重要になります。
既存の経営・管理ビザ保有者も注意が必要です

すでに「経営・管理」で在留している方については、経過措置や更新時の取扱いがあります。しかし、次回更新時には、経営状況、事業実態、改正後基準への適合見込み、専門家評価文書の有無などが確認される可能性があります。

5.外国人本人・企業担当者が確認すべきこと

今後の在留申請では、申請人本人、勤務先又は事業所、提出資料、審査傾向の4つを分けて確認することが重要です。

外国人本人が確認すべきこと

  • 現在の在留資格と実際の活動内容が一致しているか
  • 住所、勤務先、収入、税金、社会保険の状況に不自然な点がないか
  • 長期出国や転職、事業内容変更がある場合、その理由を説明できるか
  • 日本での生活実態を示す資料を整理できるか

企業・事業者が確認すべきこと

  • 雇用契約書、労働条件通知書、給与支払い、社会保険加入が整っているか
  • 外国人の業務内容が在留資格の範囲内に収まっているか
  • 経営・管理の場合、事業所、常勤職員、資本金、事業計画に実態があるか
  • 必要な許認可、税務、労務管理が適切に行われているか

6.制度厳格化は「排除」ではなく「適正化」と見るべき

今回の動きを、外国人を一律に排除するものと見るのは適切ではありません。むしろ、制度を正しく利用し、日本で真面目に働き、生活し、事業を行う外国人が不利益を受けないようにするための線引きともいえます。

重要なのは、在留資格の名称だけではなく、実際の活動内容、提出資料、法令遵守状況が制度の趣旨に合っているかを確認することです。制度が厳格化される時期ほど、早めの準備と正確な説明が重要になります。

在留資格・経営管理ビザ・外国人雇用で不安がある方へ

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格申請、経営・管理ビザ、外国人雇用、特定技能・登録支援機関業務に関するご相談を承っています。制度変更が続く時期は、申請前の状況整理が特に重要です。

参考情報: 内閣官房「外国人との秩序ある共生社会推進室」、出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」、各種報道資料を参考に、行政書士実務の観点から整理しています。