外国人住民と防災|在留支援・外国人雇用で考えたい「多文化防災」の重要性

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外国人住民と防災|在留支援・外国人雇用で考えたい「多文化防災」の重要性

日本で暮らす外国人が増える中、災害時の情報提供や避難支援は、地域社会、企業、登録支援機関にとって重要な実務課題になっています。 翻訳だけでは足りない理由と、平時から準備しておきたいポイントを整理します。

English version is available.
This article is also available in English: Foreign Residents and Disaster Preparedness in Japan
この記事のポイント
  1. 外国人住民の増加により、防災情報の伝え方が実務課題になっている
  2. 「翻訳」だけでは、避難行動につながらないことがある
  3. 企業・学校・登録支援機関は、平時から避難情報を説明しておく必要がある
  4. 外国人を「支援される側」だけでなく、地域防災の担い手として考える視点が重要

外国人住民の増加と、防災情報の課題

日本で暮らす外国人は増加を続けています。出入国在留管理庁によれば、令和7年末現在の在留外国人数は 412万5,395人となり、初めて400万人を超えました。 外国人住民は、地域、職場、学校で共に生活する社会の構成員となっています。

その一方で、災害時の情報提供や避難支援については、まだ十分とはいえない面があります。 JAPAN Forwardが紹介した記事では、外国人や訪日客の増加に伴い、言語の壁や文化・生活習慣の違いを踏まえた防災のあり方が問われているとされています。 重要なのは、外国人を単に「災害時に支援される人」と見るのではなく、地域防災の担い手として位置付ける視点です。

翻訳だけでは足りない理由

災害時には、「避難所」「津波」「警戒レベル」「罹災証明」「給水所」「一時滞在施設」など、日本で暮らしていなければ分かりにくい言葉が多く使われます。 日常会話の日本語ができる外国人であっても、災害用語の意味や危険度までは理解できないことがあります。

たとえば、「津波」という言葉を知っていても、それがどの程度危険で、どのタイミングで高台へ避難すべきかを理解していなければ、適切な行動にはつながりません。 災害時支援では、多言語化だけでなく、やさしい日本語、図解、平時からの説明、地域との関係づくりが必要になります。

災害時の外国人支援について資料を確認するオフィスの様子
災害時の情報は、翻訳だけでなく、平時からの説明と共有が重要です。
実務上のポイント: 防災情報は「多言語化」だけでなく、「やさしい日本語」「図解」「避難場所の確認」「緊急連絡先の共有」まで含めて準備することが大切です。

災害多言語支援センターと地域差

大規模災害時には、外国人住民を支援するために「災害多言語支援センター」が設置されることがあります。 これは、避難所への通訳派遣、防災情報の翻訳、やさしい日本語での情報提供などを行う拠点です。

JAPAN Forwardの記事では、総務省の令和6年調査として、全国47都道府県と1,741市区町村のうち、 災害時に同センターを立ち上げる体制が整っていると回答した自治体は163自治体、1割未満だったと紹介されています。 制度や体制は整いつつあるものの、実際の支援力には自治体ごとの差があります。

また、消防庁の令和6年版消防白書でも、外国人住民等への円滑な情報提供のため、多言語表示シートの活用や、 外国人来訪者等に配慮した災害情報伝達・避難誘導ガイドラインの周知を進めていると説明されています。

外国人雇用企業が平時からできること

外国人を雇用している企業は、在留資格の管理や労務管理だけでなく、災害時の安全確保についても一定の準備をしておくべきです。 特に、来日直後の外国人、地方で働く特定技能外国人、日本語に不安のある留学生や家族滞在の方には、平時からの説明が重要です。

1.避難場所の確認 入社時・入居時に、最寄りの避難所、避難経路、集合場所を確認します。
2.災害用語の説明 地震、津波、台風、大雨、警戒レベルなど、基本用語をやさしい日本語で説明します。
3.緊急連絡網 会社、上司、登録支援機関、家族、自治体窓口などの連絡先を整理します。
4.重要書類の保管 在留カード、パスポート、保険証、銀行情報などの保管方法を案内します。
5.防災アプリ・ハザードマップ 自治体の防災アプリ、防災メール、ハザードマップの確認方法を伝えます。
6.地域との関係づくり 防災訓練への参加や、近隣住民との関係づくりを促します。

特定技能・登録支援機関との関係

特定技能外国人を受け入れている場合、受入れ機関と登録支援機関は、在留資格申請や届出だけでなく、日本で安定して生活するための支援体制も意識する必要があります。 災害対応は、単なる親切ではなく、日本で安全に生活し、安定して就労を続けるための基盤です。

特に、住居の場所、通勤経路、夜間・休日の連絡方法、避難所の場所、災害時の給与・勤務連絡などは、平時に説明しておくことで混乱を減らせます。

地域で助け合うボランティアと多文化共生のイメージ
外国人住民を「支援される側」だけでなく、地域を支える一員として考える視点も重要です。

外国人を「支援される側」だけにしない

これからの多文化防災では、外国人を一方的に「助ける対象」として見るだけでは不十分です。 外国人住民の中には、日本語と母国語の両方を話せる人、同じ国籍・言語圏のコミュニティとつながっている人、宗教や食事制限など日本人側が気づきにくい事情を理解している人もいます。

災害時には、こうした外国人住民が同じ言語の人に情報を伝えたり、避難所での困りごとを日本人スタッフに説明したりする役割を担える可能性があります。 大切なのは、災害が起きてから関係を作るのではなく、平時から地域・企業・支援者が顔の見える関係を作っておくことです。

行政書士・登録支援機関としての視点

在留資格申請や外国人雇用支援では、申請書類、雇用契約、税金、社会保険などに目が向きがちです。 しかし、日本で暮らす外国人にとっては、災害時にどう行動すればよいか、どこに避難すればよいか、誰に連絡すればよいかも、生活の安定に直結します。

外国人本人、企業担当者、支援者は、在留資格や雇用管理だけでなく、生活支援・災害時対応も含めて、無理のない支援体制を平時から整えておくことが重要です。

外国人雇用・特定技能・登録支援機関業務のご相談

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格申請、外国人雇用、特定技能、登録支援機関業務に関する実務相談に対応しています。 受入れ体制、支援計画、必要書類、入管への説明方針について、状況に応じて整理します。

参考情報