外国人から見た日本のVISA取得コストは高いのか?海外主要国との比較

日本で在留資格を取得・更新する外国人から見ると、「日本のVISA取得コストは高いのか、それとも安いのか」は非常に重要な問題です。

結論からいえば、政府に支払う手数料だけを見ると、日本のVISA・在留資格取得コストは主要国と比べてかなり低い水準です。外務省によれば、日本の査証手数料は一次有効査証で約3,000円、数次有効査証で約6,000円です。また、出入国在留管理庁によれば、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の手数料は許可時6,000円、オンライン申請の場合は5,500円、永住許可申請は許可時10,000円です。

しかし、外国人本人が実際に感じる負担は、政府手数料だけでは決まりません。翻訳費、証明書取得費、交通費、専門家費用、勤務先との調整、不許可になった場合の再申請リスクまで含めると、日本の在留手続は「安いが、準備負担は軽くない制度」といえます。

パスポートと現金で見るVISA取得コスト
VISA取得コストは、政府手数料だけでなく、資料準備や専門家費用を含めて考える必要があります。

1.日本の政府手数料は主要国より低い

日本の在留資格手続では、許可時に収入印紙で手数料を納付する仕組みが中心です。代表的な手続は次のとおりです。

手続 日本の手数料目安 特徴
短期・就労等の査証 単次約3,000円、数次約6,000円 海外主要国と比べて低い
在留資格変更 6,000円
オンライン5,500円
許可時に納付
在留期間更新 6,000円
オンライン5,500円
1年更新が続く場合は毎回負担が発生
永住許可 10,000円 主要国の永住・定住系申請と比べると低額

このように、政府手数料だけを比較すれば、日本は「VISA取得コストが低い国」と評価できます。

2.海外主要国では、申請時点の負担が大きい国も多い

海外主要国では、申請時点で比較的大きな金額を支払う制度が多く見られます。

国・地域 代表的な費用 本人から見た特徴
米国 非移民ビザでUS$185又はUS$205など 本人のビザ手数料に加え、就労系では雇用主側費用や弁護士費用も大きくなりやすい
英国 Skilled Workerは申請料に加え、IHSが通常年£1,035 本人・家族帯同では初期負担が非常に大きくなりやすい
カナダ 訪問、就労、就学許可などで申請料と生体認証費用が問題になる場合がある 日本より高くなる場面が多いが、英国ほど極端ではない
シェンゲン圏 短期ビザ成人€90 短期滞在でも日本の単次査証より高い
オーストラリア ビザごとに申請料金が設定され、スポンサー・ノミネーション費用が問題となる場合がある 技能系では英語試験、健康診断、スキル査定等も含めて負担が大きくなりやすい

特に英国のSkilled Workerでは、申請料に加えてImmigration Health Surchargeを在留期間分支払う必要があり、家族を帯同する場合は総額が大きくなります。米国でも、就労系では本人の査証手数料だけでなく、雇用主側のスポンサー費用や弁護士費用が実質コストになります。

3.日本の実質コストは「安い」とは限らない

日本の政府手数料は低い一方で、在留資格の審査では、提出資料の整合性、本人の在留状況、雇用実態、勤務先の安定性、納税状況、社会保険加入状況などが見られます。

そのため、外国人本人にとっては、次のような費用・負担が発生します。

  • 出生証明書、婚姻証明書、卒業証明書、職歴証明書などの取得費用
  • 外国語書類の日本語翻訳費
  • 課税証明書、納税証明書、住民票などの取得費用
  • 入管への出頭、追加資料対応、会社との調整にかかる時間
  • 行政書士等の専門家費用
  • 不許可後の再申請、短期出国、在留継続リスクへの対応費用

つまり、日本は「政府手数料は安いが、手続全体が簡単という意味ではない」という点に注意が必要です。

パスポート、スマートフォン、現金から考える海外VISA申請費用
オンライン申請や海外比較では、申請料だけでなく、支払い方法、為替、付帯費用も確認する必要があります。

4.1年更新が続く場合は、累積コストに注意

日本で特に注意すべきなのは、在留期間が1年しか付与されない場合です。

1回あたりの在留期間更新手数料は高額ではありません。しかし、1年更新が続くと、毎年、申請準備、会社資料の取得、税証明書の取得、入管対応、専門家費用が発生します。

本人から見ると、単発の手数料よりも、「毎年更新しなければならない不安」と「毎年書類を準備する負担」の方が大きいことがあります。

そのため、実務上は、単に更新を繰り返すのではなく、3年・5年の在留期間を目指せるように、勤務先の雇用条件、職務内容、収入、納税、社会保険、転職履歴などを整えていくことが重要です。

5.今後、日本の在留手数料は上がる可能性がある

日本では、2025年4月1日から在留資格変更・在留期間更新などの手数料が改定されました。さらに、今後は在留手続の手数料上限を引き上げる方向の議論も出ています。

現時点では、具体的な将来の手数料額は確定しているわけではありません。しかし、在留外国人の増加、審査体制の強化、行政コストの増加を背景に、日本の在留手続がこれまでのような低コストのまま維持されるとは限りません。

外国人本人、雇用企業、支援者は、今後の制度変更を前提に、更新時期、永住申請のタイミング、家族帯同の予定、専門家費用を含めた予算管理を行う必要があります。

6.実務上のポイント

外国人本人が日本で安定して在留するためには、単に申請書を提出するだけでは不十分です。次の点を早めに確認することが重要です。

  • 現在の在留資格と実際の活動内容が一致しているか
  • 転職・退職・休職の履歴を説明できるか
  • 収入、納税、社会保険の状況に問題がないか
  • 勤務先の業務内容と本人の職務内容に整合性があるか
  • 1年更新が続いている場合、改善できる事情があるか
  • 永住申請を検討する場合、要件と提出資料を早めに確認しているか

まとめ

外国人から見た日本のVISA取得コストは、政府手数料だけで見れば、米国、英国、シェンゲン圏、カナダ、オーストラリアなどと比べて低い水準です。

しかし、在留資格の審査では、本人の在留状況、勤務先、提出資料、納税・社会保険、過去の申請履歴などが総合的に見られます。そのため、実際には、資料準備、翻訳、専門家費用、不許可時の再申請リスクまで含めて考える必要があります。

日本で長く安定して暮らすためには、目先の申請費用だけでなく、将来の更新、在留期間、永住申請、家族帯同まで見据えた在留管理が重要です。

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格変更、在留期間更新、永住許可、外国人雇用に関するご相談を承っています。

現在の在留資格、勤務先、更新履歴、将来の永住申請まで含めて整理したい方は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

参考情報